【日本を代表する日本の固有種】杉

木紹介

日本の杉の特徴とは?

日本には、四季折々の美しい景色が広がる豊かな自然があります。その中でも、山々に広がる緑豊かな森林は、私たちの生活に欠かせない貴重な資源です。その中でも、杉は日本を代表する木材の1つであり、私たちの生活や文化に深く根付いています。そこで今回は、日本の杉の特徴について詳しくご紹介いたします。

日本の杉は、ヒノキ科スギ亜科スギ属の常緑針葉樹で、日本の固有種です。学名はCryptomeria japonica(クリプトメリア・ジャポニカ)といいます。漢字では「杉」や「椙」と書きますが、「杉」は中国ではコウヨウザンを指し、「椙」は日本でしか通じない国字です。

日本の杉の特徴としては、以下のようなものがあります。

  1. 主な特徴
  • 高さ:成木では30~50mに達することがあります。最も高い個体は京都市左京区の「大悲山国有林」内にある「花脊(はなせ)の三本杉」のうち1本で、62.3mあります。
  • :直径30㎝~4mほどで、灰白色から赤褐色の皮目があります。若木では皮目が細かく網目状になりますが、老木では粗く割れ目が入ります。材は一般的にピンクがかった白色で、緻密な質感を持っています。また、香りが良く、消臭効果もあることから、建築材やインテリア材として人気があります。
  • :針状で長さ5~20mmほどです。一年生枝につく葉は互生し、二年生枝以降につく葉は螺旋状に配置されます。
  • :雌雄異株で、春先に花粉を飛ばします。雄花は枝先や下部につき、黄色から赤紫色を呈します。雌花は枝先や上部につき、淡黄色から淡紫色を呈します。日本の花粉症を引き起こす種の一つであり、現在無花粉杉の開発が進められています。

参考:花粉の少ない苗木を植えよう 林野庁

:球果と呼ばれる球形の果実で、直径1.5~3cmほどです。秋から冬にかけて成熟し、多数の種子を含みます。

日本の杉は古来から神聖な木として崇められてきました。神社や仏閣などの建築物や仏像などの彫刻品に用いられたほか、神事や祭礼などでも重要な役割を果たしてきました。

また、日本の杉は優れた木材としても利用されてきました。通直で柔らかく加工しやすく、強度や耐久性も高いことから家具や建具など様々な用途に使われています。特に銘木と呼ばれる品質の高い材料は珍重されています。日本の杉の名産地としては日本三大人口美林と呼ばれる3地域があり、

  • 秋田杉:秋田県の天然杉であり、成長が遅いため年輪が詰まっており強度に優れる。
  • 吉野杉:奈良県中南部の吉野林業地帯で生育する人工林の杉です 。枝うちなどの作業により節のない美しく価値の高い木を育てています。
  • 天竜杉:静岡県浜名湖周辺で生育する人工林の杉で赤身が多く粘り強く強度もあるといわれています。
  1. 生育環境

杉は、戦後の大造林期に大量に植林されたこともあり日本の各地に広く分布しています。広葉樹の皆伐後に植えられた場所も多いため様々な場所に生えていますが、本来は沢沿いや谷筋など水と養分の多い場所に生える種です。また谷筋は樹高が高くなる杉にとって風の影響を受けにくいという利点もあります。

  1. 利用される分野

日本の杉材は、建築材やインテリア材として、または薪などの燃料として使用されています。その中でも、建築材としての需要が高く、特に伝統的な建築物には、杉材が多く使用されています。また、最近では、杉の抗菌・消臭効果を生かして、木製のマスクやハンドメイドのキッチン用品などにも利用されるようになっています。

  1. 耐久性

日本の杉は、耐久性に優れています。そのため、建築材としても多く利用されており、古くからの建築物でも、長期間使用されているものが多いです。また、天然の防腐剤である「杉チオール」という成分を含んでいるため、虫害に強く、長期間保存することができます。

  1. 持続可能な資源

杉は、成長が早く、約30年程度で伐採が可能な早成性の木材であり、持続可能な資源として注目されています。しかし戦後の大造林期に植えられた杉が50-70年経ち伐採期を迎えていますが木材価格の下落や林業従事者の高齢化などで伐採や再造林が追い付いていないのが現状です。

以上、日本の杉の特徴についてご紹介しました。日本の杉は、多くの人々に愛される木材であり、私たちの生活や文化に欠かせない存在です。

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