【熊対策先進国】北米グリズリー対策に学ぶ、日本のヒグマ・ツキノワグマから身を守る方法

野生動物

近年、日本各地でヒグマ(特に北海道)による被害が急増しています。一方、アメリカやカナダでは特に国立公園などにおいて長年グリズリーとの遭遇に備えるための具体的な対策が定着しており、そこから学ぶべき点は多くあります。

この記事では、海外の実例をもとに日本でのヒグマ・ツキノワグマ対策の改善を考えます。

日本におけるヒグマ被害の現状

これまで日本では「熊鈴」での事前対策が主流で、熊と遭遇した場合の熊スプレー携帯はほとんど普及していません。
一方で、最近は人間を恐れずに襲う熊も出現してきており、できるだけ遭遇しない、した場合でも最善の対処方法を知っておく必要性が高まっています。

👇クマの痕跡を見つける方法を知ってみる👇

海外のグリズリー対策から学ぶポイント

日本のヒグマは、体長1.9〜2.3m、体重200〜400kg程度が一般的で、日本最大の陸上動物です。一方、北米のグリズリーは平均2.4〜3m、体重270〜450kgで、最大600kgを超える個体も確認されています。

両者とも最高速度は40km/hに達し、北米のグリズリーの方が一回り大きいですが、人間からした脅威はどちらも非常に危険です。
日本のクマよりも巨大なグリズリーに対抗するための手段を北米の事例から学ぶことで、日本の熊対策への応用ができます。

ベアスプレーの携帯と訓練

北米では、グリズリーに対して熊スプレーが92%のケースで攻撃を抑制し、98%が無傷で切り抜けたと報告されています。日本でも普及と訓練が急務です。

熊スプレーは、カプサイシンの含まれているものが主流です。
利用方法としては熊の進行方向に対して、5~10mの距離に複数回噴射します。
こちらに向かってくる経路上に、スプレーの成分が滞留するように噴射させます。

目や鼻などの粘膜にスプレーの成分を付着させるのが重要です。
また、熊スプレーは、すぐに使えるように腰やリュックのベルト付近に携帯しておくことが重要です。

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音を立てて存在を知らせる

鈴や会話による音は、クマに人間の存在を知らせる効果が一定程度あります。ただし「万能ではない」ため、他の対策と併用する必要があります。

有効な対策の一つとしては、爆竹です。猟銃の発砲と音が似ていることや、自然界にはあまりない大きな音であるため、クマに人間の存在・未知の音として知らせ、遭遇確率を下げる効果が期待できます。
一方で、近年の熊被害は、人間を捕食対象として認識している可能性もあるため、熊被害のあった地域においては、音を立てて知らせるとともに、複数人で行動することが重要です。

銃声に似た自然にない音で、獣を撃退します。

食べ物・匂いの管理徹底

熊の嗅覚は、人間の数倍あると言われています
北米の国立公園ではフードロッカーやベアキャニスターが義務化され、テントや車内に食べ物を放置することは禁止されています。
日本でもゴミ・食料管理の徹底が不可欠です。
人間が餌付けしたり、ゴミを漁ったりなどして人間の食糧の味を覚えている場合、人間の食糧の匂いに釣られて熊が近くに来る可能性が高くなります。

さらに、一度人間と食料が紐づけられると、人間の匂いとして自然界にはあまりない洗剤・柔軟剤の香りと人間が紐づけられます。洗剤や柔軟剤・芳香剤の香りに気を配ることが、クマと遭遇しないための対策になります。
特に食糧については、確実に臭いが漏れないように注意する必要があります。

複数人での行動と訓練

単独より複数人で行動した方が襲撃リスクは減ります。

一人の場合でも、他の人の集団と行動するなど、完全に一人の状態を極力少なくすることが重要です。
日本の事例でも、深夜の清掃や早朝の新聞配達など一人で作業している時に襲われる状況が多発しています。

クマの痕跡を見つけ、遭遇しないようにする

クマは国内の他の野生動物とは区別がしやすい足跡などの特徴があります。
クマの残した痕跡(フィールドサイン)をしっかりと把握し、遭遇しないように注意することや、近くにいそうな場合にはこちらの存在を知らせることも重要です。

日本で取り入れやすい具体策

対策内容方法・ポイント
ベアスプレー携帯・訓練登山者や林業従事者へ配布、使用訓練を実施
複数行動の推奨単独よりグループ行動、会話やなどで存在を知らせる
音で知らせる習慣鈴に加えて爆竹や意識的に声を出す
食料・ゴミ・匂い管理テントや車内に食べ物を残さない、適切に処理する
広報・訓練の実施地域・学校での啓発、模擬訓練
非常時対応体制危険なクマ出現時の避難指示・射撃許可を制度化(緊急猟銃)

まとめ

日本におけるヒグマ被害は増加傾向にあり、北米のグリズリー対策を参考に今回は日本のヒグマ対策を考えてきました。

ベアスプレーの普及、複数行動、匂い管理、訓練、法整備など、多層的な対策を組み合わせて命を守りましょう。

もっと知りたい👇

参考

National Park Service (米国国立公園局)「Staying Safe Around Bears」

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